受験勉強レポート

H.T <筑波大学附属駒場高等学校2011年卒 現役>

慶應義塾大学商学部  進学
東京大学文科T類   不合格
早稲田大学商学部   不合格


<はじめに>

自分の受験生活には夏から秋にかけて学校行事に没頭し勉強を完全に停止していた時期があり少々変則的なものであったため、例えばそれを時系列にそって振り返ってみる等ということをしてもそれが次代の巖丈志摩生の参考になる自信が無い。そこで受験生活を通して自分が感じたことの中からどうしても伝えておきたいことに限定し体験記としてまとめさせてもらうことにした。前半の学習編では科目別にまとめてあるが、ここで講師陣がこれから何度も言ってくださるようなことをあえて記し文章が長くなり飽きられるといったことは望まないので、普段あまり指摘してもらえないようなことをほんの数点挙げるにとどめた。後半の習慣編では受験生活というこれから1年間の長期にわたる戦いを乗り切るために生活習慣の点でいくつか警告しておきたいことを挙げた。そして最後に少々のまとめを付してこの体験記を締めさせていただいた。次代の巖丈志摩生にとって何らかのサポートとなれば幸いである。

<学習編>


【英語】
まず始めに巖丈志摩の英語といったら単語テストがもはや名物となっておりますが、その単語に関して一つ。単語を覚えるのが早い人と遅い人がいます。もちろん、英単語の学習において反復は万人にとって効果的な方でありますし、避けては通れない道であります。ただし覚える早さで差がつくのは「記銘」なのです。「記銘」に時間をかけるべきです。今年のセッションで浅野先生は、全体には夏休みの早朝ゼミで初めてこの話をしましたが春のうちから強く意識しておくべきところです。 ここで「記銘」の辞書的な意味を記しておくと《記憶の第一段階。新しい経験を受け入れ、それを覚え込むこと。》とあります。つまりここに時間をかけるということは、最初の一回で強く脳に刻みつけるということ。僕はこれを単語との小さな思い出作りと捉えています。 その最もシンプルなやり方は、アクセントを必ず確認し、必ず一回は実際に発音してみるという方法です。声に出してみることで脳により強く刷り込まれます。これは全員が実践するべきです。そしてこれでもどうも覚えづらそうな単語だなと思ったらその単語が使える場面を妄想してみる、又はセット化する、の二つです。これは自習室にいても無言でできますよね。楽な方法です。特に妄想はオススメです。そしてそれでも苦手な単語はお家で処理しましょうか。外人っぽく言ってみる、必殺技っぽく言ってみる、ジェスチャーを交えてみる、の三つです。自習室ではできませんし正直イタいですが効果は抜群です。 上に挙げたことをすると次にその単語をみたときに意味を思い出す為のヒントを作っておくことができるのです。その単語と思い出を作っておくことで、まるごとその時のことが思い出され、なんとなく意味までわかってしまう。嘘だと思うのであれば、自分の部屋でこっそりやってみましょう。単語を覚える速度が簡単に上がるはずです。 英語に関してもう一つ言うならば和訳問題について意訳に頼りがちな人、危険です。自分は和訳問題を意訳に頼りまくっていて、ヨスケさんによく注意されました。授業中に難しいものを意訳で乗り切れてしまう快感にひたり、意訳が癖になっていました。ちなみに浅野先生は意訳に関しては授業中にはあまり注意してくれません。 結局、試験の一週間前くらいにも注意されていたので当日は結構気をつけたつもりですが、やはり英語の点数の低さを考えるとその辺りでも点数が引かれていた線が濃厚です。とにかく小さなズレは生じやすいですし全くの勘違いが生まれ点数を大きくおとす可能性もあがります。意訳が得意な人ほど気をつけてください。最後の最後に意訳なのです。まずは浅野式文法を完璧にしましょう。ホント痛い目に遭いますよ。
【数学】
ここに関しては何を書いていいのか正直わかりません。とにかく覚えるべきことは全部覚えて、それらを問題演習の中で使えるようにしていく。その問題演習のなかで出題者側の意図を読み取る勘を養う。こんなところだとは思うのですが…。
何を書いていいかわからないというのも、自分は夏の中頃まで数学は苦手でありヨスケさんに相談したりもしましたが二学期にはむしろ得意な科目かなと思っていました。その時はこの変化が急すぎて何が起こったのかよくわからなかったのです。ただ、今振り返ると、そこで一番変わったことは自信がついたことかなと思います。まず数学の苦手な人は問題を見るともう無意識の内に弱腰になっているというか、面食らうところがあります。解答を見ると簡単な公式の組み合わせで意外とすんなりとさばくことができるのに…。それで、冴えている時だったらできたのかな、なんて思って次に進む。これが繰り返される。勉強していて何がいけないのかわからない。僕の場合もこんな感じでした。解答理解とかはしっかりやっているつもりなのに地に足着かない感じ。そんな時、ちょうど夏の終わり頃ですか、一橋受験の人たちと一緒に過去問を解く会を自分達で作って、東大、一橋の過去問を解きまくっていたら意外とこれが解ける。東大2完と一橋3完(まあ一橋は何完したらいいのか知らないが…)とか意外と近いものに感じられて自信がついた。その結果、問題を見る時に面食らわずに無駄に堂々と構えることができるようになり、実際正答率も上がったのです。ただこの変化が本当に自信によるところのみであるかは定かではないし、この自信というのは間違ったつけ方をしてしまうと大変危険なのであまり強くは言えません。ただ、ちょっとしたメンタルの問題でできるようになるという可能性もあるかもしれません。と、この程度にとどめておきます。

【国語】
この科目は授業を無駄にしている人が多いと思います。授業以外で知識詰めをしっかりやっていかないとあまり授業に出る意味がありません。特に古文・漢文はその性質が強いので気をつけましょう。あとこの2つはセンターの問題が比較的簡単で推測力がある程度あると解けてしまうようなものであり油断しやすく勉強不足に陥りやすいところだと思うので注意してください。現代文に関して僕が言えるのは読書あるのみです。

【世界史】
葵さんの確認テストで70点台をとってしまうのはやる気が無い証拠です。
確認テストは時間をかければできるように作られている(山川の地理ノート、資料集、地図帳の3点セットを各範囲完璧に潰すだけ)のでドコ志望とか関係なく全員が一位争いをできるようになっています。カタカナ覚えるのが苦手とか言っている場合じゃありません。英語の単語テストと同じように勉強全体に対する姿勢を反映する性質が強いと思います。

そしてもう一つ大事なのが復習です。ここは自分で上手く行っていかなくてはいけません。僕は夏休みに復習を怠っていたせいで、秋から冬にかけて覚え直しに大きく時間を割かなくてはならなくなりました。葵さんを上手く利用するもよし、自分で効率よくできるならそれもよし、とにかく絶対にやってもらいたいところです。

【地理】
ヨスケさんをいかに利用できるかが当日の点数にそのまま反映します。自分は夏の終わりからセンターまで地理をほとんどやらなかったにも関わらずセンター後の過去問添削をヨスケさんにしてもらったおかげでギリギリ点数を伸ばすことができました。難関校の地理選択者はやることになると思いますが地理ノートによる過去問添削は効果抜群です。 限られた文字数の中に点数になるキーワードを効率的に詰め込むのは、ヨスケさんの話を聞くと簡単なことのように思えますが、実際なかなかこれが上手く行きません。難関校を受けるような人は知識よりもココで差がつきます。上に書いた過去問添削を継続的にやることで少しずつその感覚が養われます。 ここで東大生はもちろん全ての巖丈志摩生はヨスケさんを積極的に利用しなくてはいけません。浅野先生がいかに若いとはいえもう三十路です。実戦経験をしてまだあまり時間のたっていないヨスケさん(もちろん葵さんもそうです)のほうが生徒にとっては受け入れやすいアドバイスをしてくれることも多いです。女子の中にはその謎のテンションの高さから近づきにくい人もいるようですが、一つの相談からこちらの欠点を10個くらいグサグサと指摘してくれるありがたいお方なので積極的に絡んでいきましょう。(←多分これを聞いてまた女子の相談者が減ることでしょう。でもそれはホントにもったいないことですよ。)

<生活編>
ここでは受験生活を終えたのをいいことに、少し小言を言わせてもらうことにします。馬鹿なことのように聞こえる内容もあるかもしれませんが、夏休みあたりには生活習慣ぐちゃぐちゃなんて人も必ず出ますので、注意して読んでもらいたいところです。 まず初めに、巖丈志摩生は圧倒的に無駄話が多いです。 アットホームな環境があり生徒同士の距離が近いことは情報交換等の生徒間の連携をしやすくするという大きなメリットを持つと同時に、無駄話が育つ為の格好の土壌が整備されていることになります。七階の小部屋なんてまさに完璧な環境です。大手学習塾にはなかなかありません。また無駄話は受験関連のトピックを扱うことで『教え合い』や『伸ばし合い』といった仮面を被ることができます。『息抜きも大事』といった魔法の合い言葉も持っています。非常に危険です。もちろん、無駄話も一定時間までであれば良い気分転換になりますし喋ること自体を否定しているわけではありません。ただいとも簡単にその性質を変える非常にデリケートなのだと言っているのです。 無駄話は集中力を削ぎ、時間・体力を削ります。喋っているもの同士で点数を食い合います。実際に今年の受験生にもそれで失敗した人が多いように思える。 だからこそ、平凡な内容のこのトピックを最初に持ってきました。 無駄話の特徴として、当事者には自覚がある場合がほとんどです。しかし、それを嘘で塗り固め(ここででてくるのが先ほどの魔法の仮面、魔法の呪文です。)続けてしまう。『KY』なんて言葉が一時期流行りましたが友達付き合いなんてものも気にしてなかなか抜け出せない人もいる。無駄話をしている人に冷たい視線をおくってあげましょう。お前らが喋っているうちに俺は伸びているぞと。気づかせてあげましょう。それが巖丈志摩で定義される友達ですよ。(なんかキザですね) 次に、10時まで自習室に残ることが自己目的化している人がいる。僕は結構、危険なことだと思います。集中力が不足した状況で時間と体力を無駄に消費するのみであり、これを続けると習慣が破壊されます。特に勉強にあてられる時間の少ない現役生は効率的な勉強が求められます。時には帰ることも大事です。念のために言っておくと友達と帰る時間を合わせるなんて、もってのほかですよ。 ところが、一方で集中力が一時的に低いときに少し粘って集中力を引き上げるのも大事なことです。ここの、粘るか切り上げるかの判断が難しいのですが上手くいくと生活にメリハリがつきます。そして、集中力を高める方法は人それぞれです。例えば僕は少し寝て回復するというのが苦手です。なので、大概は六階で少し話すか、(もちろん、時間には注意して!!!) 飲み物を買いにいくか、読書をするかしていました。自分がどうしたら集中できる可能性が高いのか自分なりにパターンを発見し、それを実践してダメな時は思い切って帰ってしまうがいいと思います。もちろん、早く帰る日が続いてしまうようではまずいです。自分は諦め癖があるなと思う人は少し粘りに挑戦した方がいいかもしれませんね。 はい、次。巖丈志摩生はご飯の時間が長い。ご飯の時間は買い出し含めて30分程度をお勧めします。食べる速度に個人差があるのは仕方ありませんが1時間もかけてしまうのは甘えだと思います。特に夏場にだらけるとご飯の時間なんていとも簡単に伸びます。初めから短めに設定して習慣にしてしまいましょう。最初はつらいことのように思えても馴れてしまえば楽ですよ。 あと2個。読書をしましょう。これかなり大事。でもあまり多くは語りません。ただ一つだけ、あなたの周りに「こいつはできるな」とか「こいつは頭がいい」って感じる人っていませんか?だれしも1人ぐらいいると思います。その人と自分とは何が違うのだろう?こういった問いが浮かんできますよね。そこで一つ、その差を埋めることができる手段の一つが読書です。以上。読むか読まないかはあなた次第。(何の本を読んだらわからない人は金子先生や浅野先生に勧めてもらうのもいいでしょう。そのうち、自分が読みたい本がみつかってくるはずです。) ラスト。教室の真ん中に座りましょう。教室の中心近くに座っている人と、はじに座っている人とでは先生の扱いが違います。まず中心近くにいると当てられる回数が多くなり授業内での緊張感が増します。このことで授業中に集中力が高まり授業内で多くを吸収することができます。 おまけ。授業中に集中するためにもう一つ、ノートをとっている人はやめましょう。不安になるかもしれませんが、忘れてしまったことは聞きにいけばいいのです。ノートなんて無い方が聞く力も考える力もつきますよ。実際、細かくノートをとる人の方が成績は悪いです。

<まとめ>

巖丈志摩での1年間は、やはり浅野先生をはじめとする個性豊かな講師陣・チューター陣の名言ときに迷言もの数々を振り返ること無しには語ることのできないものであるが、ここでその振り返るといった試みをしてみた結果、それら名言の多くは受験勉強のマナーを我々生徒に染み込ませるとそういった趣旨で発せられたものであることに気づかされた。そしてこの勉強のマナーに関して講師陣(特に浅野先生)が口をすっぱくして言ってくれること。このことこそが巖丈志摩が巖丈志摩たる所以であると自分は感じる。大手学習塾ではこうはいかない。まず多くの受験生は勉強にもマナーがあるということは意識していない。そしてこのマナーを知っているかどうか、いや実践できているかどうかがいわゆる世間でいう「勉強のできる人」と「勉強のできない人」とを分ける重要な要素の一つとなっていることにも気づかない。つまり我々は巖丈志摩を選んだ時点で他の受験生よりも環境の面で一歩リードしている可能性が高い。だがその一方でその環境を最大限に活かせていない人が多いのも事実だ。浅野先生が1年を通して同じことを何度も口を酸っぱくして言っていることは逆にその証拠にもなっている。実際にこのマナーを実践することは難しい。だからこそ大きな武器となるのである。受験ではもちろん自分が何をするべきかを自分で考えて動くという自発的な能力も大きく要求されるが、このマナーを習得することに関しては少々愚直になった方がいいようだ。ぜひともこの武器を自分のものにしてほしい。それが巖丈志摩を選んだことに意味を持たせる。この特殊な環境を活かしましょう。 さてこれで体験記を終わりとします。稚拙な文章に最後までつき合ってくださった方々にはただ感謝の一言です。そしてこれは冒頭にも述べましたが、この体験記が何らかの助けになることを願っています。最後に、自分は巖丈志摩生を応援しています。今後も時間の都合がつけば年に何回かは巖丈志摩を訪ねてみようと思っているので、その時は気軽に質問なりなんなりして積極的に利用して下さい。できる限りで力になりたいと思います。それでは、来年の春に笑っていられるように受験生の皆さんは頑張ってください。健闘を祈ります。 巖丈志摩で自分と関わった全ての人へ ありがとうございました。